知覚の恒常性

感覚器官に与えられる物理的刺激の情報が変化しても、知覚される情報は、比較的一定に保たれること。同じ対象から得られる客観的、物理的な情報が変化しても、主観的には対象が同じように知覚されることにより、人は外界を安定した世界としてとらえることができている。

大きさの恒常性(size constancy)

対象との距離の変化によって、網膜上の大きさが変化しても、知覚される対象の実際の大きさに変化はない。これは、対象までの距離がわかっている場合に生じる。

例:右腕を伸ばし、左腕を曲げた状態で自分の手を見るとき、網膜に映る手の大きさには違いがあるが、同じ大きさであると知覚される。

下記の参考サイト内の画像において、ケーキの大きさは同じであるにもかかわらず、右上のケーキのほうが大きく感じてしまう。これはこの大きさの恒常性を逆手に取った画像で、遠近法により、遠くにあるように見える右上のケーキを、手前のケーキより大きく感じてしまう錯視である。

参考:Illusion Forum イリュージョンフォーラム 錯視 形の錯視 大きさの恒常性 / NTT Communication Science Laboratories、https://illusion-forum.ilab.ntt.co.jp/size-constancy/index.html

形の恒常性(shape constancy)

見る角度によって網膜像が変化しても、知覚される形はゆがまない。

例:コーヒーカップを真横から見た時と、上から見た時では、網膜上に映る形は異なるが、カップの形が変わったとは感じない。

明るさの恒常性(brightness constancy、lightness constancy)

照明の強さと無関係に、黒い物は黒く、白い物は白く見える。

例:白いシャツを直射日光下と室内で見た場合では、反射している光の量は異なるはずだが、同じ「白」として知覚される。

下記の参考サイト内の画像はこの明るさの恒常性を利用した、有名な錯視画像である。タイルAとタイルBは全く同じ色であるにもかからず、違って見えてしまう。タイルBが、右上にある円柱の陰になっているように見えることで、実際よりも明るく感じてしまうためである。

参考:Illusion Forum イリュージョンフォーラム 錯視 明暗の錯視 チェッカーシャドウ錯視 / NTT Communication Science Laboratories、https://illusion-forum.ilab.ntt.co.jp/checker-shadow/index.html

色の恒常性(color constancy)

照明の条件が変わっても、その照明の色と無関係に、同じ物体は安定して同じ色として知覚される。

例:赤いリンゴは青い照明のもとでも赤と知覚される。

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